iDeCo上限が月6.2万円へ 会社員の増額試算
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2026年12月、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金上限が大きく上がります。とくに「企業年金のない会社員」は、月2.3万円から月6.2万円へと、上限が2.7倍に。差額は月3.9万円、年にして46.8万円です。ここでは架空のモデル世帯を1つ置き、その人が「増やすとどうなるか」を順に追っていきます(制度の最終確認日:2026-08-04)。
この記事に出てくるモデル世帯
実在の誰かの話ではありません。制度の効き方を分かりやすく見るために置いた架空の設定です。
- 会社員のAさん(38歳・年収500万円・独身)
- 勤務先に企業年金(企業型DCや確定給付年金)はない
- これまでiDeCoに毎月2.3万円(上限いっぱい)を積み立ててきた
- 課税所得はおおむね250万円前後で、所得税率10%・住民税10%の帯にいる
このAさんが、2026年12月の改正で「上限が月6.2万円に上がったから、月6.2万円まで増やそうか」と考えている、という場面です。
まず、2026年12月に何が変わるのか
改正のポイントは大きく3つです。数字はいずれも制度改正の公表内容にもとづきます。
| 区分 | 改正前の上限(月額) | 改正後の上限(月額) |
|---|---|---|
| 会社員・公務員(第2号) | 職場の年金制度により1.2万〜2.3万円 | 企業年金等と合算して6.2万円 |
| 自営業・フリーランス(第1号) | 6.8万円 | 7.5万円 |
| 加入できる年齢 | 原則65歳未満 | 70歳未満まで拡大 |
会社員は、これまで「勤務先に企業年金があるか・どんな制度か」で上限がバラバラでしたが、改正後は企業年金とiDeCoを合算して月6.2万円までという形に一本化されます。企業年金のないAさんのような人は、その6.2万円をまるごとiDeCoに回せるため、増額の恩恵がいちばん大きくなります。
引き上げが反映されるのは2026年12月分からで、実際に口座から増えた金額が引き落とされるのは2027年1月からです。「12月にいきなり倍額引かれる」わけではない点は、覚えておくと慌てません。
上限が上がることと、上げるべきかは別の話。まずは自分がどの区分かを正しく知ることが出発点です。
Aさんが月6.2万円に増やすと、税金はどう動くか
iDeCoの掛金は、全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になります。つまり掛金が増えた分だけ、その年の課税所得が下がります。
- これまで:月2.3万円 × 12 = 年27.6万円を積み立て
- 改正後:月6.2万円 × 12 = 年74.4万円を積み立て(増額分は年46.8万円)
Aさんは所得税10%・住民税10%の帯にいるので、掛金にかかる軽減率は合計およそ20%です。
- 増額分46.8万円 × 20% = 年およそ9.3万円、税金が軽くなる
もともとの27.6万円分(軽減およそ5.5万円)と合わせると、Aさんが1年間で受け取る節税効果は合計でおよそ14.8万円という計算になります。あくまでAさんの前提(税率20%帯)での試算で、税率が違えば金額も変わります。ご自身の税率は、源泉徴収票の「課税される所得金額」の目安から確認してください。
同じ「積み立てる」でも、iDeCoは入り口で税金が戻る。この一手間が効いてきます。
それでもAさんはいったんNISAとの配分を考えた
節税額だけを見ると「全部iDeCoに寄せたい」と思えますが、Aさんはここで立ち止まりました。iDeCoには原則60歳まで引き出せないという強い制約があるからです。
- 60歳より前に、住宅の頭金・教育費・転職の谷間などでまとまったお金が要る可能性があるなら、そのお金はiDeCoに入れてはいけない
- 逆に「これは完全に老後まで触らない」と割り切れるお金だけを、増額分に回す
Aさんは、増額枠の月3.9万円のうち、当面は月2万円だけを上乗せ(合計月4.3万円)にして、残りの余力はいつでも引き出せる新NISAに回す、という折衷案にしました。老後資金はiDeCoの節税で厚く、途中で使うかもしれないお金はNISAで機動的に、という分け方です。
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Aさんが見落としかけた「マッチング拠出」の落とし穴
Aさんの勤務先には企業年金がありませんが、もし企業型DCがあってそこで「マッチング拠出(自分の給料からの上乗せ)」をしている人は、注意が必要です。
改正後もなお、マッチング拠出をしている人はiDeCoに同時加入できません。「企業型DCのマッチング」と「iDeCo」は、どちらか一方を選ぶ関係です。勤務先で上乗せ拠出をしている人は、まず自分がマッチング拠出をしているのかを給与担当や運営管理機関に確認してから、iDeCo増額を検討してください。この確認を飛ばすと、手続きしたのに加入できない、ということが起こり得ます。
60歳が近い人・お金の全体像に不安がある人へ
iDeCoの改正は「上限が上がって選択肢が増える」だけで、正解が一つに決まるものではありません。とくに次のような人は、掛金だけでなくお金の全体像で判断したほうが安全です。
- 50代で、iDeCoの運用期間(受け取りまでの年数)が短くなっている人
- 退職金の受け取り方(一時金か年金か)とiDeCoの出口が絡んでくる人
- 住宅ローン・教育費・保険と、老後資金の優先順位を整理しきれていない人
こうした「掛金の額」より一段上の設計は、家計全体を見てもらえる無料のFP相談で棚卸ししておくと、判断のブレが減ります。
Aさんが今日から動いたこと(まとめ)
最後に、Aさんが「12月の改正までに」実際にやったことを並べます。改正はまだ先でも、準備は今からできます。
- 自分の区分を確認:勤務先に企業年金があるか、マッチング拠出をしていないかを給与担当に確認した
- 引き出せないお金かを仕分け:60歳まで触らないお金だけを増額分に回すと決めた
- 配分を決めた:増額枠のうち月2万円をiDeCo上乗せ、残りは新NISAへ
- 税率を確かめた:源泉徴収票で自分のおおよその税率を確認し、節税額を見積もった
- 手続きの時期をメモ:増額の変更届は12月の反映に間に合うよう、11月中に出すと決めた
上限が上がるのは全員にとってのチャンスですが、「上げられる」と「上げるべき」は別です。引き出せない制約と、自分のライフイベントを照らし合わせて、無理のない額から始めてください。
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参考情報
- 楽天証券「iDeCoの加入可能年齢・拠出限度額が引き上げ(2026年12月制度改正)」 https://dc.rakuten-sec.co.jp/about/revised/202505/
- マネックス証券「iDeCo拠出限度額および加入可能年齢の引き上げ(2026年12月制度改正)」 https://info.monex.co.jp/news/2026/20260514_01.html
- 国税庁「iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1135.htm
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。掛金上限・税制の詳細は、改正時期が近づいたら必ず公式サイトや運営管理機関の最新情報をご確認ください。