高校生の扶養控除は減らない、先に来る壁は130万
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高校生の子の扶養控除は、2026年も減っていません。親の控除は所得税38万円・住民税33万円のままで、2027年分の所得税までは今の形で続くと決まっています。
子のバイト代の上限も、2026年分は給与収入136万円に上がりました。ただし先にぶつかるのは税ではなく、健康保険の130万円です。
この記事では、高校生の子がいる家庭でよく聞く誤解を3つ取り上げ、国税庁・総務省・厚生労働省の資料で一つずつ確かめます。最終確認日は2026年10月5日です。
誤解1 高校生の扶養控除はもう縮小された
縮小はされていません。2023年末から「高校生年代の扶養控除を減らす」案が議論されてきましたが、2026年度の税制改正でも見送られました。
2025年12月の大綱で現行維持に
政府は2025年12月26日に、令和8年度税制改正の大綱を閣議決定しました。総務省が2026年1月21日に自治体へ送った事務連絡に、税制改正大綱の文言が載っています。そこには、高校生年代の扶養控除の令和9年分の所得税と令和10年度分の住民税について「現行制度を維持する」と書かれています。
令和9年は2027年です。つまり次の2つは、今の控除額のままです。
- 所得税:2026年分と2027年分で38万円
- 住民税:2027年度分と2028年度分で33万円
控除の対象は、その年の12月31日に16歳以上19歳未満の子です。高校1年生から3年生がおおむねここに入ります。
「減る」と聞いた額は検討段階の案だった
ニュースで見た「25万円に縮小」は、2023年末に示された案の数字です。所得税は38万円から25万円、住民税は33万円から12万円に減らす内容でした。
この案が実施されていたら、親の負担がどれだけ増えたかを計算しておきます。所得税は復興特別所得税(2.1%)込み、住民税は税率10%で試算しました。
- 所得税率5%の親:所得税約6,600円+住民税2万1,000円で、年約2万7,600円
- 所得税率10%の親:所得税約1万3,300円+住民税2万1,000円で、年約3万4,300円
この負担増は、今のところ発生していません。
2028年分以降は未決定
安心できるのは2027年分の所得税までです。大綱には「引き続き検討を進め、結論を得る」とも書かれています。高校生まで広がった児童手当(月1万円)や、高校授業料の無償化とあわせて、控除のあり方を見直す議論は続いています。
例年、翌年の税制改正は11月から12月に与党で議論されます。年末のニュースで「高校生の扶養控除」という言葉を見たら、2028年分以降の話かどうかを確かめてください。
誤解2 高校生のバイト代は123万円まで
2026年分からは、給与収入136万円までなら親は扶養控除を受けられます。2025年分の123万円から13万円上がりました。
136万円は2つの改正の合計
国税庁の資料によると、令和8年度の改正で次の2つが変わりました。
- 扶養親族の所得要件:合計所得58万円以下から62万円以下へ
- 給与所得控除の最低保障額:65万円から74万円へ(2026年分と2027年分)
給与収入から給与所得控除を引いた額が「所得」です。62万円に74万円を足すと136万円になります。子の収入がバイトの給与だけなら、年136万円以下で親の扶養控除が使えます。
この改正は2026年12月1日に施行され、2026年分の所得税から使われます。住民税も、2027年度分から同じ62万円の要件と74万円の最低保障額が使われます。
超えると親の税金は年5万〜7万円増
子の給与が136万円を1円でも超えると、親は38万円の扶養控除をまるごと失います。大学生年代のような段階的な控除はありません。
親の所得税率別に、増える税額を計算しました。
- 所得税率5%の親:所得税約1万9,400円+住民税3万3,000円で、年約5万2,400円
- 所得税率10%の親:所得税約3万8,800円+住民税3万3,000円で、年約7万1,800円
年末に子のシフトが増えそうなときは、12月までの給与の合計を先に数えておくと安全です。
年末調整で申告書の出し直しが必要な家庭
子の給与が123万円を超え136万円以下になりそうな家庭は、年末調整で手続きが要ります。
国税庁のQ&Aでは、改正で新しく扶養控除の対象になった親族がいる場合、扶養控除等申告書を出し直すよう求めています。「異動月日及び事由」の欄に「令和8年12月1日 改正」などと書きます。
会社によっては、年初に出した申告書に子の名前を書いていないかもしれません。その場合、出し直さないと年末調整で38万円の控除が入りません。
誤解3 136万円以下なら何も起きない
税の扶養と健康保険の扶養は、別の制度です。健康保険の扶養に入れるのは、年収130万円未満の人です。 136万円まで働くと、税の扶養には残れても、健康保険の扶養からは外れます。
健康保険は契約上の見込みで判定
健康保険の被扶養者の基準は、60歳未満なら年間収入130万円未満です。19歳以上23歳未満は150万円未満に広がりましたが、高校生年代の多くは130万円が基準です。
2026年4月からは、年収の見込み方が変わりました。厚生労働省の通知では、労働条件通知書などに書かれた時給・労働時間・日数から年収を計算します。残業代のように契約で決まっていない賃金は、この計算に入りません。
時給1,100円・週20時間の契約を例に計算します。年52週で114万4,000円となり、130万円未満です。この契約なら、繁忙期のシフト追加で年収が130万円を少し超えても、契約上の見込みで判定されます。
一方で、契約そのものが年130万円を超える内容になると、扶養から外れます。外れた子は国民健康保険か、勤め先の健康保険に入ることになります。保険料は住んでいる市区町村や勤め先で変わるため、必ず事前に確認してください。
この判定の詳しい中身は、130万円の壁、残業で超えても外れない?で解説しています。
18歳以上の子は住民税の対象に
子ども本人の住民税にも年齢の線があります。住民税では、未成年者は前年の合計所得が135万円以下なら課税されません。
ところが2022年4月から、成年年齢は18歳に下がりました。翌年1月1日の時点で18歳の子は、住民税の判定では未成年者として扱われません。高校3年生でも、誕生日によっては住民税の対象になります。
18歳以上の子が課税されない所得の上限は、自治体ごとに違います。静岡県伊東市の案内では、合計所得41万5,000円が目安とされています。2027年度分の住民税で計算すると、伊東市なら給与収入115万5,000円を超えたあたりから住民税がかかる計算です。
住民税がかかっても、親の扶養控除がなくなるわけではありません。子ども本人の手取りが少し減る、という話です。
3つの誤解を解いたあとの行動
ここまでの内容を、高校生の子がいる家庭の行動に直すと次の4つです。
- 子の1月からの給与明細を集め、12月までの見込み額を出す
- 見込みが130万円以上になりそうなら、健康保険の扶養をどうするか家族で決める
- 見込みが123万円超136万円以下なら、年末調整で扶養控除等申告書を出し直す
- 2027年1月1日に18歳になる子は、住んでいる市区町村の住民税の基準を調べる
例:高校3年生の子のバイト代が月11万円の家庭
架空の例として、高校3年生の子が1月から毎月11万円のバイト代を得る家庭を考えます。12月までの合計は132万円です。
税の扶養は136万円以下なので、親の扶養控除38万円は残ります。2025年までのルールなら123万円を超えていたため、控除は消えていました。
健康保険は、契約上の年収見込みで決まります。毎月11万円が契約どおりの賃金なら、見込みは132万円で130万円以上です。この場合、健康保険の扶養からは外れます。11万円の中に契約で決まっていない残業代が入っているなら、その分を除いて判定されます。労働条件通知書の時給と労働時間を、先に家族で確かめておきます。
住民税は、2027年1月1日に18歳なら課税される見込みです。どこに住んでいるかで額が変わるため、春に届く通知を待つ前に、市区町村のサイトで基準を確認しておきます。
教育費の計画とあわせた判断
高校生の子がいる家庭は、税の扶養より大きな出費が控えています。大学の入学金や、ひとり暮らしの仕送りです。
子が19歳になると、親の控除は特定扶養控除の63万円に切り替わります。大学生年代はバイト代が増えても、控除が段階的に残る仕組みです。その先の扶養の考え方は大学生の子のバイト、親の控除は159万まで満額にまとめました。
バイト代の線引きと、大学までの教育費の準備をまとめて考えたい家庭は、FPに家計全体を見てもらう方法もあります。
あわせて読みたい
参考情報
- No.1180 扶養控除(国税庁)
- 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(国税庁・2026年5月)
- 令和8年度地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての留意事項等について(総務省・2026年1月21日)
- 労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて(厚生労働省)
- 未成年者の市・県民税非課税条件について(伊東市)
税額の試算は、控除額に税率を掛けた概算です。実際の税額は、ほかの控除や住んでいる自治体によって変わります。最新の情報は国税庁・お住まいの市区町村の案内でご確認ください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。