金を売ったら税金?ジュエリー30万円・利益50万円
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田中貴金属の金の買取価格は、2026年9月11日の公表で1gあたり2万3,413円でした。2016年の年間平均小売価格は、税抜で1g4,396円です。引き出しの中の金は、買ったころの数倍の値段で売れる状態にあります。
税金がかかるかどうかは、売った金額だけでは決まりません。結論は次の3点です。
- 金のジュエリーは、1個または1組の価額が30万円以下なら課税されない
- 地金や金貨は譲渡所得の対象で、利益から年50万円の特別控除を引ける
- 5年を超えて持っていた金は、控除後の利益の半分だけが課税の計算に入る
この記事でわかることは次の3つです。
- ジュエリーと地金で、課税の線がどこに引かれているか
- 100gの地金を売ったときの税額の目安
- 領収書がない金と、相続した金を売るときの考え方
ジュエリーは1個30万円が非課税の上限
国税庁のタックスアンサーNo.3105によると、家具や衣服など生活に通常必要な動産を売った所得には税金がかかりません。ただし、貴金属や宝石などで1個または1組の価額が30万円を超えるものは除かれます。
判定は1個または1組ごとに行います。年間の合計額で見る決まりではありません。
金相場が上がると、ふだん使いのネックレスでも30万円の線に近づきます。18金は、金の割合が75%です。重さ20gの18金ネックレスに含まれる金は15gになります。
9月11日の田中貴金属の買取価格で単純に計算すると、15g×2万3,413円で約35万1,000円です。20gの18金は、金の分だけで30万円の線を越える計算になります。
実際の買取額は、お店ごとの条件で変わります。30万円を超えるかどうかは、査定額が出た段階で確かめてください。30万円を超えたジュエリーは、次に説明する地金と同じ総合課税の譲渡所得として計算します。
地金と金貨は利益50万円まで課税なし
国税庁No.3161では、金地金を売った所得は原則として総合課税の譲渡所得とされています。ジュエリーのような「30万円以下は非課税」という扱いは、地金の説明にはありません。
課税される金額は、次の順で計算します。
- 売った金額から、買った金額(取得費)と売るための費用を引く
- 残った利益から、特別控除の50万円を引く
- 持っていた期間が5年を超えていれば、さらに2分の1にする
特別控除の50万円は、1年間に売った総合課税の資産の利益を合わせた額に対する上限です。利益が50万円以下なら、利益の額までしか引けません。何回かに分けて売っても、1年分の利益を合計して計算します。
持っていた期間は、取得したときから売ったときまでで数えます(国税庁No.3152)。5年以内なら短期、5年を超えれば長期です。同じ利益でも、5年を超えてから売ると課税の計算に入る金額は半分になります。
営利目的で売買を続けている場合は、譲渡所得ではなく事業所得や雑所得になります。フリマでの転売の扱いはメルカリの利益、確定申告いる?いらない?で整理しています。
100gの地金を売った架空例の税額
ここからは架空の例です。もともとの課税所得が200万円の会社員が、2026年中に100gの金地金を売るケースを考えます。
売値は、9月11日の田中貴金属の買取価格2万3,413円×100gで234万1,300円とします。買った値段は、田中貴金属の年間平均小売価格(税抜)に当時の消費税率を掛けて置きました。売買の手数料は含めていません(金価格の最終確認日:2026-09-11)。
| 項目 | A:2016年に購入 | B:Aで領収書なし | C:2022年に購入 |
|---|---|---|---|
| 売値 | 234万1,300円 | 234万1,300円 | 234万1,300円 |
| 取得費 | 47万4,768円 | 11万7,065円(売値の5%) | 84万1,390円 |
| 利益 | 186万6,532円 | 222万4,235円 | 149万9,910円 |
| 50万円を引いた後 | 136万6,532円 | 172万4,235円 | 99万9,910円 |
| 持っていた期間 | 5年超(長期) | 5年超(長期) | 5年以内(短期) |
| 課税所得に足す額 | 68万3,266円 | 86万2,117円 | 99万9,910円 |
| 税額の目安 | 約13万8,000円 | 約17万4,000円 | 約20万2,000円 |
税額の目安は、足す額に所得税10%と復興特別所得税(所得税の2.1%)、住民税10%を掛けた概算です。3つとも課税所得が329万9,000円以下に収まるため、所得税率は10%で計算しました(国税庁No.2260)。
Cは、Aより利益が37万円ほど少ないのに税額は約6万4,000円多くなりました。差を生んだのは、2分の1にできるかどうかです。金の税金は、いくらで買ったかと同じくらい、いつ買ったかで変わります。
領収書がないときの取得費は売値の5%
国税庁の所得税基本通達38-16は、土地建物以外の資産について、収入金額の5%を取得費として計算することを認めています。買った値段が分からない地金や金貨にも使える扱いです。
表のBが、領収書がない場合の計算です。取得費が47万円台から11万円台に減り、税額の目安は約3万6,000円増えました。
実際の購入額が分かれば、5%ではなく実際の金額で計算できます。購入時の領収書や取引明細は、金と同じ場所に保管してください。
相続した金は親が買った時期を引き継ぐ
国税庁の確定申告書等作成コーナーに、相続や贈与で取得した資産の説明があります。取得の時期は、亡くなった人や贈与した人のものを引き継ぎます。
親が20年前に買った金を相続し、翌年に売ったとします。所有期間は親が買ったときから数えるため、長期として2分の1の計算を使えます。「相続したばかりだから短期」とは限りません。
親の購入額が分からないときは、前の節の5%の方法があります。相続税を納めた人には、取得費を上乗せできる特例(国税庁No.3267)もあります。相続税がかかった金を売る前に、税務署か税理士へ確認してください。
200万円超の売却は税務署に調書が届く
国税庁の報道発表資料に、金地金等を買い取る事業者の義務が書かれています。200万円を超える対価を支払うと、税務署へ支払調書を出さなければなりません。平成24年1月から始まった制度で、対象は金・白金の地金と金貨・白金貨です。
架空例の100gは234万1,300円なので、200万円を超えます。
200万円以下なら調書は出ません。調書が出ないことと、税金がかからないことは別の話です。 同じ資料では、平成26事務年度に金地金等の譲渡所得で2,627件の申告漏れ等が見つかったとされています。
これから持つならNISAの金ETFも候補
現物の金は、売るたびに上の計算が必要です。これから金を持つ人には、NISAの成長投資枠で金ETFや金の投資信託を買う方法もあります。
楽天証券の投資情報メディア「トウシル」によると、成長投資枠では金関連の投資信託(対象外あり)や国内外のETFを買えます。つみたて投資枠の対象商品に、金関連は含まれていません(2025年4月14日時点の記事)。国税庁No.3105でも、NISA口座内の少額上場株式等を売った所得は課税されないとされています。
節税・税金 | 金の持ち方と税金
金を売ったときの税金の違い
同じ金でも、持ち方で課税の扱いが変わります
| 売却益の税金 | 確定申告 | 気をつけること | |
|---|---|---|---|
| ジュエリー(1個30万円以下) 生活で使っていたもの | ○ 課税されない | ○ 不要 | △ 営利目的の転売は別扱い |
| ジュエリー(1個30万円超) 1個または1組で判定 | △ 総合課税の譲渡所得 | △ 利益の額によって必要 | ○ 年50万円の特別控除を使える |
| 金地金・金貨 現物 | △ 総合課税の譲渡所得 | △ 利益の額によって必要 | △ 200万円超の売却は支払調書が出る |
| NISAの金ETF・投資信託 成長投資枠 | ○ 非課税 | ○ NISA口座内の売却は不要 | △ 値下がりで元本割れすることがある |
- ※現物を5年を超えて持っていた場合、特別控除後の利益の2分の1が課税の計算に入ります
- ※金投資口座・金貯蓄口座の利益は20.315%の源泉分離課税です(国税庁No.3161)
資産化計画
NISAは税金をなくす仕組みで、値下がりを防ぐ仕組みではありません。 田中貴金属の小売価格は、2026年1月29日に1g2万9,815円でした。9月11日には2万3,769円まで下がっています。金ETFや金の投資信託も、値動きによって元本割れすることがあります。
証券口座をまだ持っていない人は、楽天証券やSBI証券などのネット証券でNISA口座を開けます。
売る前にそろえる3つのもの
査定に出す前に、次の3つを手元に集めます。
- 購入時の領収書や取引明細:見つからなければ、購入した店や口座の取引履歴を探す
- 買った時期が分かる記録:相続した金なら、親が買った時期のメモや記録
- 1個・1組ごとの査定額:ジュエリーは30万円を超えるものがあるかを確かめる
利益が50万円を超えそうな年は、翌年の確定申告で譲渡所得として申告します。同じ年にゴルフ会員権など総合課税の資産を売る予定があれば、利益を合わせて計算してください。
よくある質問
売った金額が20万円以下なら申告はいらない?
判定に使うのは、売った金額ではなく所得の金額です。会社員は、給与所得と退職所得を除く所得金額の合計が20万円を超えると確定申告が必要になります(国税庁No.1900)。
1年間の総合課税の利益の合計が50万円以下なら、特別控除で譲渡所得の金額はゼロになります。住民税の申告の扱いは、住んでいる市区町村に確認してください。
地金とジュエリーで50万円は2回使える?
使えません。特別控除は、1年間の金地金の利益とほかの総合課税の利益を合わせて50万円までです(国税庁No.3161)。短期と長期の利益が両方あるときは、先に短期の利益から引きます(国税庁No.3152)。
メルカリで金のアクセサリーを売っても同じ?
国税庁No.3105の生活用動産の非課税に、売る場所の条件は書かれていません。自分で使っていた1個30万円以下のアクセサリーなら、フリマで売っても考え方は同じです。仕入れて売ることを続けている場合は、事業所得や雑所得として扱われます(国税庁No.3161)。
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参考情報
制度内容は国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在の法令等)で確認しました。個別の税額は、税務署や税理士に確認してください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。