家計管理

月6万円の通院が1年続くと、約19万円戻る高額療養費

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毎月の通院費が6万円。高額療養費の月の上限にはあと少し届かず、これまでは1円も戻りませんでした。

2026年8月の診療分から、この「届かない人」にも払い戻しの道ができました。**高額療養費に「年間上限」が新しく加わり、8月から翌年7月までの自己負担が上限を超えると、超えた分が戻ります。**年収約370万〜770万円の区分なら上限は53万円です。月6万円を12か月払うと72万円なので、差の19万円が戻る計算です。

ただし、戻るのは窓口ではなく後からの払い戻しで、申請の受付は2027年8月からです。この記事では架空の会社員を1人置いて、どの月の支払いが数えられ、いつ・いくら戻るのかを順に追います。

架空のモデル:通院を続ける34歳の会社員

例として、次のような会社員を考えます。実在の人物ではなく、計算のために置いた架空のモデルです。

  • 34歳・会社員。協会けんぽに加入
  • 年収は約500万円。標準報酬月額は36万円
  • 2026年8月から、1つの病院に毎月通院している
  • 病院と院外の薬局を合わせた自己負担は、毎月ちょうど6万円(3割負担)

標準報酬月額36万円は、協会けんぽの区分では「28万〜50万円」に入ります。いわゆる年収約370万〜770万円の区分です。

月6万円では、月の上限に届かない

このモデルの場合、月の上限は8万5,800円が基準です。毎月6万円の支払いは、1か月単位では一度も上限を超えません。

2026年8月の診療分から、月の上限は全区分で引き上げられました。この区分の計算式は次のとおりです。

  • 見直し前:80,100円+(医療費の総額-267,000円)×1%
  • 見直し後:85,800円+(医療費の総額-286,000円)×1%

モデルの医療費の総額は、自己負担6万円を3割で割り戻した20万円です。28万6千円に届かないので、1%の加算はつかず、上限は8万5,800円のままです。

月の上限を超えない以上、従来の仕組みでは払い戻しはゼロでした。12か月で72万円を払っても、同じ結果です。

年間上限が効くのは8月から翌年7月まで

年間上限は、暦の1年ではなく「8月1日から翌年7月31日」の期間で数えます。最初の期間は2026年8月から2027年7月までです。

協会けんぽが公表している年間上限は、区分ごとに次のとおりです(最終確認日:2026-09-30)。

標準報酬月額年間上限
83万円以上168万円
53万〜79万円111万円
28万〜50万円53万円
26万円以下53万円
低所得者(住民税非課税など)29万円

26万円以下の区分には、経過措置があります。**標準報酬月額が15万円以下と確認できた人は、年間上限41万円が適用されます。**払い戻しは2027年8月以降です。

53万円という数字は、4か月目から下がる月の上限(多数回該当)の4万4,400円の12か月分に近い金額です。多数回該当の額は、今回の見直しでも据え置かれました。

モデルの1年を月ごとに追う

モデルの支払いを、期間の始まりから並べます。

診療月その月の自己負担期間の累計
2026年8月6万円6万円
2026年10月6万円18万円
2026年12月6万円30万円
2027年2月6万円42万円
2027年4月6万円54万円
2027年7月6万円72万円

(表は2か月おきに抜き出しています。毎月6万円ずつ増えます)

累計は2027年4月に54万円となり、年間上限の53万円を超えます。

**それでも、5月以降も窓口では6万円ずつ払い続けます。**年間上限は窓口の支払いを止める仕組みではなく、期間が終わってから払い戻す「償還払い」だからです。

期間が終わった時点の計算は次のとおりです。

  • 1年間の自己負担の合計:72万円
  • 年間上限:53万円
  • 払い戻しの目安:72万円-53万円=19万円

協会けんぽは、年間上限の申請を2027年8月から始めると案内しています。申請書は2026年9月30日時点でまだ公開されていません。

数えられる支払い、数えられない支払い

**70歳未満の人は、医療機関ごとに月2万1,000円以上の自己負担だけが合算の対象です。**このルールは年間上限の申請でも同じだと協会けんぽが明記しています。

モデルが、別の皮膚科にも月3,000円ほど通っていたとします。皮膚科の支払いは2万1,000円に届かないので、年間上限の計算には入りません。

院外の薬局で払った分は、処方せんを出した医療機関の分と合わせて判定します。モデルの「病院と薬局で6万円」は、この合算で数えられる前提です。

保険の対象外の支払いも、年間上限の計算に入りません。

  • 差額ベッド代(個室の料金)
  • 入院中の食事代
  • 先進医療の技術料
  • 通院の交通費

治療費の総額が大きく見えても、ここに挙げた支払いが多い人は、数えられる額が思ったより小さくなります。

区分が違うと、戻る額はこう変わる

同じ「毎月の通院」でも、区分によって戻る額は変わります。いずれも月の上限を超えない前提の、架空の試算です。

  • 標準報酬月額26万円以下で、月5万円の通院が12か月:合計60万円-年間上限53万円=約7万円
  • 標準報酬月額15万円以下で、月4万円の通院が12か月:合計48万円-年間上限41万円=約7万円
  • 標準報酬月額28万〜50万円で、月4万円の通院が12か月:合計48万円で53万円に届かず、戻りはゼロ

最後の例のように、年間上限は「毎月の負担が大きく、しかも1年続いた人」ほど効く仕組みです。月の支払いが3万〜4万円台なら、年間上限より先に医療費控除を確かめたほうが現実的です。

入院などで月の上限を超えた月がある人は、その月に払い戻された分をどう差し引くかで計算が変わります。細かい計算方法は申請書と一緒に案内される見込みのため、加入先の案内を待って確認してください。

医療費控除とはどう付き合うか

医療費控除は、暦の1年(1月から12月)で数えます。高額療養費の年間上限は8月から翌年7月です。2つの制度は、数える期間が5か月ずれています。

国税庁の説明では、医療費控除を計算するときは、健康保険から戻る高額療養費を払った医療費から差し引きます。年間上限で戻るお金も、この差し引く対象に入ると考えるのが自然です。

2026年分の確定申告は、年間上限の払い戻し額が決まる前に来ます。その場合の書き方は、申告の時点で税務署に確かめるのが確実です。

医療費控除の基本的な計算は、医療費控除で税金を取り戻す!30代が知るべき完全ガイドで扱っています。

民間の医療保険を見直す前に

「公的な払い戻しがあるなら、民間の医療保険は要らないのでは」と考える人もいます。判断の材料は、公的制度で自己負担がどこまで抑えられるかです。

年間上限ができたことで、長く通院する場合の自己負担の天井は見えやすくなりました。一方で、差額ベッド代や先進医療の費用は、年間上限でも戻りません。民間の保険で備える意味が残るのは、公的制度が払ってくれない支払いのほうです。

いまの保険の保障内容が、公的制度と重なっていないかを見てもらうなら、保険の無料相談が使えます。

2027年8月までに手元でやること

払い戻しは早くても2027年8月以降です。申請のときに慌てないよう、次の3つを今のうちに進めておきます。

  1. 領収書と明細を月ごとに保管する。病院と薬局の分を、同じ月の封筒にまとめておくと合算の確認が楽になります
  2. 自分の標準報酬月額を確かめる。給与明細の健康保険料と、加入先の保険料額表を見比べると分かります
  3. 加入先の案内を確認する。健保組合の人は、組合独自の上乗せ(付加給付)があるかも調べておきます

期間の途中で転職や退職をして加入先が変わった場合の扱いは、2026年9月30日時点の公表資料では確認できませんでした。該当する人は、申請書の公開後に新旧両方の加入先へ問い合わせてください。

なお、2027年8月からは第2段階として、所得区分がさらに細かく分かれる予定です。月の上限の数字も変わるため、来年の夏にもう一度確認が要ります。

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参考情報

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。